変形性膝関節症の膝関節音計測に関する研究
変形性関節症(osteoarthritis; OA)は四肢や脊椎の関節軟骨が摩耗して関節周囲に骨棘が出来る病気で、関節痛や手足の麻痺を引き起こします。また原因が「病的な軟骨内骨化」と言われており,治療法は対症療法のみで,根本的治療法が存在していません.さらに骨粗鬆症や関節リウマチよりも多くの高齢者が罹患し、介護保険では要支援の原因疾患の第一位になっている病気で、国内の有病者数は2000 万人以上と推計されています。 一度罹患するともとに戻らないのですが,患者はある程度病状が進行し,痛みを感じるようになってからしか病院には行かないため,早期診断方法の開発が求められています.
そこで,OA患者の健常者の関節音の違いに着目し,関節音計測装置の開発を行うことで,早期診断装置の開発を行っています.本装置が開発・製品化されれば,たとえば人間ドックの項目の一つとして取り入れることで,早期発見が可能であると考えています.
下図に示すように,関節角度と関節音計測装置を取り付け,立ち上がり動作時などで発生する関節音を計測しています.また,計測された関節音を,時間―周波数解析を行うことで,どの膝角度でどのような関節音が発生したかを把握することができます.下のグラフは,OA患者の関節音であり,高周波が膝伸展時に発生していることがわかります.
現在は,星城大学・首都大学東京と共同で研究を行い,多くの年代・疾患レベルの方の関節音を計測し,データベースの作成を行っています.
膝角度および関節音測定の様子
関節音と関節角度の関係(OA患者は高周波が特徴的)
ヘアレスラットの皮膚の粘弾性特性に関する研究
皮膚は,衝撃,熱,紫外線,化学物質などの外部刺激から生体内部を保護する役割を持つ臓器です.その皮膚の中でも,真皮と呼ばれる組織は,線維性基質と,その産生細胞に大別され,基質の大部分はコラーゲン繊維とエラスチン繊維で構成されています.これらの細胞外マトリックスrの再生は,創傷治療における組織再構成にとって極めて重要です.
そこで,創傷治癒過程にあるヘアレスラット背部皮膚の力学的特性(引張特性・粘弾性特性)を調べることを目的としています.
本研究は,近畿大学・埼玉大学分子生物学科と共同で研究を行います.
ヘアレスラット背部皮膚より取り出した試験片写真